かつての大戦において陸戦の華、少年戦車兵とともに活躍した機甲部隊の主力に九七式中戦車(チハ車)がありました。
 この戦車は、もっとも熾烈をきわめた玉砕の島サイパンにて四十余命の少年戦車兵とともに、勇戦奮闘、祖国の礎となり、戦後30年土中深く無縁をかこっていましたが、このたび一有志の悲願がかない、この母なる地に還り、安置したのであります。
 無数の弾痕は戦争の激しさを訴え、満身の赤錆は、戦いの空しさを語り、平和の尊さを教えています。
 ここに若獅子の御霊とともに永く平和の道標として顕彰されんことを希うものであります。

 昭和50年(1975) 10月吉日 (参考 一有志:下田四郎氏)


 この戦車は戦車第九連隊所属で、同時期に帰還したもう一両は現在、靖国神社:遊就館に修復・整備・塗装され展示されています。

※このページに掲載の白黒画像は全て当時の少年戦車兵学校で使用中の九七式中戦車です。
<性能諸元>
全長 5.55 m
全幅 2.33 m
全高 2.23 m
重量 15 t
懸架方式 独立懸架および
シーソー式連動懸架
速度 38 km/h
行動距離 210 km
主砲 97式57mm 砲
副武装 7.7mm機銃×2
装甲 25 mm
エンジン 4ストロークV型12気筒
空冷ディーゼル
170 馬力
乗員 4 名


↑靖国神社:遊就館の九七式中戦車